あなたは母子共に長い出産時間を乗り越えて、ある暑い夏の日、元気に産まれてきた。私達にとって、初めての子供。パパは自分の力で路を大きく切り開いて欲しい、という願いを込めて「路路(ろろ)」と 名付けました。 パパに瓜二つと評判のあなたは、よく笑い、おしゃべりも上手で周りをいつも笑顔に してくれる存在でした。

4ヶ月のある日。咳が止まらなくなり、ミルクも飲めなくなったあなたが心配になり、病院を受診しました。血液検査の結果を報告受けた医師の表情が、一瞬で深刻な顔に変化しました。 筋肉の壊れる値が、普通の人の何百倍もあったのです。 私達は訳がわからないまま、あなたは入院。 入院後、横紋筋融解という、一時的ですが筋肉組織が思いっきり壊される状況に陥り、 手も足も動かすことができなくなりました。その後、長い検査入院を経て、「福山型筋ジストロフィー」という病名を告げられました。そして、現在では治療法が何もないこと。 ゆっくりと運動の発達はするも、早いうちに筋肉が破壊され衰えていくという酷な病気で あることも。

現状を知った瞬間は、目の前が真っ暗闇、そして正直「私の人生もここで終わってしまった」という思いに捕らわれました。 家族は皆、「路路には思いっきり好きな事をさせて、楽しい思い出作りをさせてあげよう」と考えていました。

どん底から這い上がるために、病気の事を沢山調べました。
そして、治療に関して一筋の光が見えてきた事を知ります。
その瞬間から私達家族の考えは変わりました。
あなたの将来の事を常に考えています。
あなたの病気がわかってからは沢山の人に支えてもらい、たくさんの勇気をもらいました。
とは言ってもあなたは病気を抱え、私達にはわからない痛みや、自由にならない葛藤と毎日戦っていると思うと、涙もでます。
今でも、病気が単なる悪夢で、なんでもない日常に戻れるんであれば、神様、何でもしますと考える日々もあります。
でも、いいんです。弱音を吐くのも、強気で病気に打ち勝つ闘志に燃えるのも人間。
ただ、ひとつは強く信じています。

「路路」という名前を付けた事は必然だったと。
あなたは未来へのみちを切り開く本当に強い力を持っていると。