第2回
大澤真木子先生
医師 / 東京女子医科大学 小児科 名誉教授
長年にわたり、ふくやまっこと親をも、温かく見守ってきてくださった福山型筋ジストロフィーの臨床医の権威である大澤先生。今回も大切なメッセージを沢山いただきました。
- ふくやまっこを診察する事になったきっかけを教えてください。
- 東京女子医科大学学生時代、福山型筋ジストロフィーを発見された福山先生の講義を聴いた瞬間、大きな感銘を受け、即座に
「先生の講義は素晴らしかった!」とラブレターを書きました。
福山先生はとても情熱的で魅力的な先生でした。
そして、大学を卒業してすぐに入った小児科の教室のチーフが、福山先生でした。福山型の病気自体、まだ様々な原因が
ささやかれている時代で、病態解明の為に患者さんの外来診察を担当する事となりました。昔は福山型筋ジストロフィーは
進行しない病気と捉えられていましたが、お子さんと密に接していく中で小学校入学前後から、筋力が衰えていく事に気づきました。
- ふくやまっこはどのような性格の子供達が多いのでしょうか?
- 非常に情緒が豊かで、人懐っこい。目で見て判断する力も強く、非常に空気を読む子達です。情緒豊かという事は反面神経質です。 ご自身に注目を浴びていたいし、自分の好きな人に自分と居る時に幸せでいて欲しいのです。それが満たされないと、自家中毒なども起こしやすいのです。病気があっても、お子さんの精神発達は成長と共に変化します。精神発達の段階によっては、彼ら自身がストレスにより、食事を拒否するなどストライキを起こすこともあるので、積極的に子供を理解をしてあげる事が必要です。
- 彼らと触れあっていく中で、大切なポイントはなんですか?
- まず、そのお子さんの気持ちを理解して動いてあげる事。
また、お子さん自身筋力低下があるので、何気ない行動で骨折したりすることもあります。注意してあげてください。
- ふくやまっこが気を付けないといけない、横紋筋融解とは?
- 横紋筋融解は端的にいうと、筋肉が沢山壊れるという事を指します。
春先~夏での一部のウィルス感染により発熱、発熱3日後あたりに、壊れてしまうパターンが多いです。
時としては、首が据わらなくなったり、お座りができなくなったり、極端な場合呼吸機能にまで
及び、命に関わる例があります。
昔は症例が少なかったので亡くなるお子さんもいましたが、今は情報がある程度共有され
悲しい事例は減りました。
親御さんは、発熱後、お子さんの様子が少しでもいつもと違うかも・・・、と思ったらすぐ
医療機関を受診するようにして下さい。
- ふくやまっことの印象深い思い出があれば教えてください。
- 沢山いらっしゃいます。
患者さんが亡くなられた際には、ご遺体の解剖を依頼してきましたが、ある方の場合、お母様があっさりと「いいですよ」と仰しゃって下さいました。その方は常日頃からお子さんが「ぼくが死んだらぼくの身体を大澤先生にあげる」とおっしゃっていたそうです。本当に心が震えました。
そしてもう一人、別の患者さんが亡くなる一週間前に書いた詩に、大変感銘を受けました。
この方は車いすで学校の窓の外に見えた命の光景を、素晴らしい詩にしたためたのです。
"はっぱのえだがびゅってのびてる
とげとげがある
さわるといたい
はっぱの中にとげとげがあって
さわるといたい
はっぱのかげがおちた
みどりいろのあたらしいめが
きれいなはっぱになる
もしでたらステキだな
またみたいです"
- ふくやまっこ達へメッセージを
- 病名に振り回されないでください。目の前にいるお子さんをしっかり見てあげてください。
お子さんが、何を欲しているか、何をしている時が楽しそうか。
お子さんと一緒の今この時一刻一刻を大切にしましょう。
- 大澤真木子おおさわまきこ
- 医師 / 東京女子医科大学 小児科 名誉教授
現職
東京女子医科大学名誉教授
一般社団法人日本筋ジストロフィー協会理事
一般社団法人日本筋ジストロフィー協会大塚駅前診療所 所長
一般社団法人日本てんかん学会代表理事(理事長)
一般社団法人至誠会理事、
学校法人東京女子医科大学評議員 など
資格
医師
小児科専門医
小児神経専門医
臨床遺伝専門医
てんかん臨床専門医
難病指定医
小児慢性特定疾患指定医
【略歴】
1972年 3月
東京女子医科大学卒業 医師国家試験合格
1976年3月東京女子医科大学大学院(単位取得後満期退学)
1978年医学博士
1987年 1月-8月
McMaster Universityへ客員教授として留学
1994年 4月-2013年3月
東京女子医科大学小児科 主任教授
2006年 4月-2013年3月
学校法人東京女子医科大学 理事
2008年 4月-2012年3月
東京女子医科大学医学部長
2012年4月-2013年3月 東京女子医科大学副学長
2013年定年により東京女子医科大学退職
2013年4月東京女子医科大学名誉教授
2013年6月一般社団法人至誠会理事
2013年11月一般社団法人日本てんかん学会理事長(代表理事)
2014年5月一般社団法人日本筋ジストロフィー協会理事
2014年10月一般社団法人日本筋ジストロフィー協会大塚駅前診療所 所長
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