第9回

戸田 達史先生
医師 / 東京大学医学部教授

福山型筋ジストロフィーの治療法確立の為に、日々、多くの研究者や医師の方々が努力を重ねてくださっています。
今回、患者自身や家族からの発信で、何かサポートとしてできる事はないかを考える機会として、「福山型筋ジストロフィーのような稀少難病に対して治療開発を行うためには何が必要か?」を主題に、東京大学医学部教授の戸田達史先生にお話を伺いました。

福山型筋ジストロフィーの治療開発を行うために、患者家族に何ができるでしょうか?
または何が求められるでしょうか?
先ずは患者登録サイト『神経・筋疾患医学情報登録・管理機構』への登録が必要です。
正確な患者数の実態を把握する必要があります。
『神経・筋疾患医学情報登録・管理機構』での、現在の福山型筋ジストロフィーの患者登録状況はいかがでしょうか?
当初の登録目標の200人は超えています。
当初の目標には到達したので、今は300人を目標としています。
ただし、既に200人もの患者さんがいるという事は、決して少ない数だとは思いません。
やはり患者数が多ければ多いほど、治療開発は支援され、迅速に進行するのでしょうか?
福山型筋ジストロフィーのような希少難病の治療開発は、どのような状況なのでしょうか?
福山型筋ジストロフィーは稀少難病といっても、国などの機関にはある程度病名も浸透してきているかと思います。
治療開発の認可を行うのは厚生労働省ですが、厚生労働省、文部科学省、経済産業省の3省から成る『医療開発機構』という新しい機関が存在し、現在、希少疾患をサポートしている状況です。
新薬申請をサポートする『PMDA』もあり、厚生労働省も以前に比べて迅速審査を行うようになり、稀少疾患に対しては風向きがどんどん良くなってきています。
例えば脊髄性筋萎縮症の新薬も、アメリカでの承認の1年後には日本でも認可されています。
福山型筋ジストロフィーの治療開発に対して、各機関の支援が不足しているとは、僕は思っていません。
それでは、そうした各機関の支援から達成される『新薬の治験』はどのように行われるのでしょうか?
治験はまだ、いつごろどこで行うことになるかはわかりませんが、一般的には希少疾患の場合、1カ所の病院では必要数の患者が集まらないので、何カ所かで行われる事になるかと思います。詳細は、未定です。
患者家族にとって、『神経・筋疾患医学情報登録・管理機構』における患者登録者数を増やす事以外に、現在何かできる事はあるのでしょうか?
患者登録数を増やす事以外に患者家族ができる事といえば、現在は福山型筋ジストロフィーの病状や病態を世の中に広く知ってもらえる様にする事でしょうか。将来、新薬の試験計画が出された場合には、福山型筋ジストロフィーの病気の存在の周知を積極的に行う事が効果的になります。
『患者家族の声』がより必要になるかと思います。

戸田 達史とだ たつし
医師 / 東京大学医学部教授

医師 / 東京大学医学部教授
1985年東京大学医学部医学科卒、内科研修後、1987年東京大学医学部神経内科・医員、1994年東京大学医学系研究科人類遺伝学・助手、1996年東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター・助教授を経て2000年より大阪大学大学院医学系研究科遺伝医学講座(臨床遺伝学)教授。2009年より神戸大学大学院医学研究科 神経内科/分子脳科学 教授。2017年より東京大学大学院医学系研究科 神経内科 教授。専門はゲノム医科学、遺伝医学、神経内科学。主な著書に「ゲノム医学の新しい展開」など。日本人類遺伝学会・学会賞、長寿科学振興財団・財団会長賞、日本神経学会・学会賞、朝日賞、文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)、時実利彦記念賞、日本学士院賞受賞。

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